Komma usw.

背後にクロチネさんがいる。

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「冷静になる呪文」

理系生物クラスのsという子と当時仲が良くて、高校生になった頃から、大学生活の日々の相談まで、そのあいだ色々と話していた。彼女は生物クラスで私は物理クラス。だが、お互い高校では国公立理系ということで、数学の勉強は共に出来た。私は高校に入って…

Twitter300字ss 「影絵の子」

影絵がすきなの。 ゆぅちゃんは云う。 きつね? うん、きつねもあるけど。ほかにも出来る。 「私、かに、出来る」 私たちは暗い部屋に居た。西日が射して、ゆぅちゃんが指を折り曲げて襖にかざした。 「はと」 「ほんとだ」 「白鳥」 「すごいね」 「オオカ…

444字ss「記憶のよるべ」

滋養、というものが好きだった。滋味。食事というものは恐ろしい。彼女は体重の増加を恐れており、また栄養という概念も怖かった。栄養なのだから食べなさい、と云って引っ叩く手はもうここには無い。それでも。 愛情は出来ないと思った。愛情は恐ろしいし、…

Twitter300字ss 「行き届いた部屋」

また土曜日がやってきた。 金曜にワインをのんで、よく眠った私は、土曜の后後、掃除を始める。私は自分の部屋が好きだ。自分で設えたものたちが好きだ。 キッチンを磨く。ガスコンロ、シンク。洗濯したマルチクロスとベッドカヴァとシーツは既に物干し竿に…

because

友人が傘を買ったらしいので、 私も傘の購入を決めた。 Weil ich sie liebe 逢いたいものです。 カラフルアンブレラ 60cm ビニール傘 グラスファイバー 滑り止め付ジャンプ傘 LA-0001 (ピンク)メディア:

殴る程の甲斐

いつまでも笑つて見てゐるむすめではない 殴る程の甲斐が見へないので笑顔で無視してゐる そんな女です

『桜になりたいいっぱい』

ねえ、今日一緒に帰ろう。 ただの、そんなことが、怖かった。 お弁当をひとりで食べていることについて、何も動じていない筈だった。〝ぼっち〟という解りやすい痛みに心を仕立てる軽薄さを、見くだしている、筈だった。 中学校からバス停まで徒歩、バス停の…

Twitter300字ss 「運を刺す針」

「運を刺す針」 運針のお稽古。 うんしん、と云って伝わるのだろうか。「なみぬい」は分かる? やらないひとには分からないものよね。木綿の布を二枚合わせ、背筋を立てて、縫い目はほぼ三ミリ。縫い針が光る。 午後三時半をベルが鳴り、お茶にするから裏沼…

「おはなしのドア」

「アリスのドアだよ」 初めてその扉を見たとき、びっくりして私は云った。人間が入るには小さ過ぎるドア。私の身長は156cmくらいだが、この扉は90cmくらいではないだろうか。 鍵が掛かっていて、その上自分の身長では入れない。アリスが兎を追いかけていって…

Twitter300字ss 「冬は天使の羽根を踏めない」

赤いオーバーが良い。またはケープ。冬はそうでなくては。 『アンナの赤いオーバー』という絵本があって、むかし私は赤いコートを着ていた。叔母が着ていたものだ。物持ちの良過ぎる祖母に困惑したこともあるが、赤いコートは気に入っていた。アンナの赤いオ…

Twitter300字ss「雲のなか」

雲のなか泳ぎゆく。碧空に包まれながら、白いなびきをやわらかに追い掛ける。向きを変えて背泳をすれば、一面に空。その向こうに視えないけれど、きっと宇宙。闇のなか星々の海。 いつか見た変わった魚の泳ぎのように、ひゅうっ、ひゅうーっと蹴伸びで泳いで…

Twitter300字ss「果物屋の娘」

最初は「つくし」だった。次が「ことり」硬筆検定教室の話だ。先ず、ノートに「つ」を何度も書き、次は「く」を書いた。一角の平仮名が最初だったのだろう。次が二角の平仮名。つくし、そして、ことり。よく出来たものだと思う。 果物屋の娘はとてもきれいな…

Tw300字ss「乳飲み児の思いで」

おくるみを縫ったことが二度ある。ダブルガーゼの布製で、姪たちのものだ。もし冬だったなら極細ウールで編んでいただろう。考えると少しうっとりする。私は子を生まないが、手芸が好きだ。たぶん、乳児も幼児も好きだ。おくるみなんて手作りしても、ほんの…

第六十回tw300ss遅刻テキスト「祝」

知人の結婚式の帰り道、式のあと受け取った祝福の花を、道すがら川に投げ入れた。 たぷとぷと浮き沈みしながら花は濁った水のなか去ってゆき、その浮き沈みを見ていると私の過ごす日々のように感じてしまったが最後、川の薄い緑色の水が流れゆくことも今日鋏…

記憶は孤独・貰い煙草しかしなかった

懐かしみのはなし。 KOOLはメンソールだって知らなかったけれど、あの頃の私だったらすぅすぅするものは吸えなかったと思う。今は、リップクリームがメンソレータムでちょっとイヤなすぅすぅがちょっとイヤだから好き、みたいなそういう感じです。でもメンソ…

「『春眠』の頃」

「飾り窓のお姉さんを初めて見たのは、春だった」 T先生は紙束の一行めを声に出して読んで、あたまを抱える真似をした。 「また貴女はこんなことを書いて」 私は不登校の大学生で、T先生は私の通っていた、学生課併設のカウンセリングルームのセラピストだ…

11.01 《灯台の日》

文藝誌オートカクテル2020は、2020年前半に発行予定です。 text by h.

Twitter300字ss『ピアノの心臓』

第五十八回のお題は「夢」です。正夢、夢中、夢想等、「夢」の入る言葉でもOKです。「夢」のある光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/PJh41DIrmYに沿って10/5日21時~24時に #Twitter300字ss と @Tw300ss をつけて投稿して下さい— Tw300字ss (@Tw300…

about efforts.

aikoの詩。

aikoの詩。(初回限定仕様盤 4CD+DVD)アーティスト: aiko出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2019/06/05メディア: CDこの商品を含むブログを見るaikoの詩。(通常仕様盤 4CD)アーティスト: aiko出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2019/06/05メ…

永遠に愛するものなど無い、(愛するは可能形では発音出来ない)

ひとが死んだので百合を携えて峠を超えたが、途中で陽炎が透明な棺を掲げて虹を渡ってゆくので、もう遅かったと思い、その百合は食べてしまった。 たぶん悲しかったのだ。だが、私はひとを愛せないであろうと知っているので、悲しかったなどということは無い…

prototype #

幸せみたいなのは分からないけれど、好きと嫌いはあります。「私、イビツなの、好きです。好きだと思います」 「だからきみの小説にはクロチネさんしかいないんでしょう」 「そうかも知れません。でもそれが何か欠陥であるか、私は解らないんです」 「歪ゆが…

20130421

いつまでも笑つて見てゐるむすめではない 殴る程の甲斐が見へないので笑顔で無視してゐる そんな女です 20130421

Twitter300字ss「薬科学部志望」

Fは小テストも授業レポートも熱心に提出するところが印象的だった。 「すごい頑張るよね?」 尋ねた私に、Fは答えた。 「だって、薬科大の推薦取るから」 それは私には新鮮で、眩しい答えだった。 「君は京大受けてどうすんの」 「数学……」 私は数学が好き…

: ..to be continue

ぶざまに生きる 私はきちんと生きてもいないので、そんな体でぶざまに生きている実感を拒否するわけにはゆかない。それは事実なのでしょうがない。 ● 青春ノスタルジア 青春ノスタルジアアーティスト: さよならポニーテール出版社/メーカー: T-Palette Recor…

対話篇

X「平成最後の夏ってみんなが騒ぐね」 Y「一部のひとが云うね。なんか良いことあるの?」 X「あれ、蝉っぽくない? なんか」 Y「蝉?」 X「騒いでるきみたちは今まで30年間土のなかにいたのかよ、っていうか」 Y「あはははは。だから今賑やかなのか。…

「worst e.p.」

犬(webで犬と名乗っているので、犬と呼ぶしかない)という人物が作詞作曲をして、期間限定のバンドを組んで録音して解散しました、という話があって、そして白昼社(っていうのは私がやっている出版社です)の通信販売で今日から買えるようになりました。ジ…

夜はまださむい。 寝室は暖房機が入っているが、毛布のなかではつま先が凍えて縮こまる。 ストーヴのようなものの方が温まるのではないか、いや、アンカか。 子どもの頃、というより実家を出るまでよほど長じるまでベビィアンカというものを冬には蒲団に入れ…

2017年、今

愛することと感謝すること以外為すべきことは無いな、と思う。 と、同時に、 本当に性格悪いことしますね、と云われて「そうですね、それが何か?」と云ってしまう自分でいたいことがある。 人生は矛盾だなんて云う間抜けさでつけ入ることは出来ない。 自分…

日本海の海の色は濃いという。 という書籍にも載っているという文章を誉めるblogを読み、「海」の重複に対し賛賞されたりしていたが、 日本海は海の色が濃いという。 これでは駄目だろうか、と、思った。誤謬だろうか。「海」の重複よりも「の」の連続が気に…



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