Komma usw.

背後にクロチネさんがいる。

444字ss「記憶のよるべ」

  
 滋養、というものが好きだった。滋味。食事というものは恐ろしい。彼女は体重の増加を恐れており、また栄養という概念も怖かった。栄養なのだから食べなさい、と云って引っ叩く手はもうここには無い。それでも。
 愛情は出来ないと思った。愛情は恐ろしいし、自分にはきっと出来ない。
 滋味。
 それは、慈しみという語を示唆するような気がした。

 きのこを幾つも鍋に入れ、とくとくと煮込む。塩と胡椒。オレガノ、そしてソーセージ。だしが出る。だしとは旨味だ。
 もしも旨み成分というものが美味しさというものなら、何故ひとは旨み成分を、旨み成分のみをふんだんに使って料理をしないのだろう? 旨いというのは、美味しいということなのだろう? グルタミン酸イノシン酸グアニル酸。空腹で堪らないのに食卓から逃亡していた少女だった頃、彼女は夜更けのキッチンで、アミノ酸調味料を嘗めながら泣いた。

 もう、いいの。

 大丈夫になれる筈だから。彼女もあなたも私も、きっと。
 鍋はくっくと湯気を上げ、彼女はもうすぐ食卓につく。


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amabunが4:44だらけ

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