ねえ、今日一緒に帰ろう。ただの、そんなことが、怖かった。
お弁当をひとりで食べていることについて、何も動じていない筈だった。〝ぼっち〟という解りやすい痛みに心を仕立てる軽薄さを、見くだしている、筈だった。
中学校からバス停まで徒歩、バス停のあちらこちらで、言葉を交わす同じ中学の生徒たち。俯くわたし。
夜。
ふいに涙があふれた。
誰も一緒に帰ってくれない。いつだってそうだった、小学校のときからおんなじだ。だから全然悲しくない。帰り道は花を摘んで本を読んで空を見て、だから淋しくない、なんにも悲しくない。
新年度はいつも胸がくるしい。新緑の臭いはカルキに似ていて嫌い。帰り道はひとり。
第七十四回のお題は「道/路」です。野道、道路、路地等、「道/路」の入った言葉や比喩的表現でもOKです。「道/路」にまつわる光景を作品にして下さい。
— Tw300字ss (@Tw300ss) April 2, 2021
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