cutting.
出来れば
出来るだけ
家族ではないように
暮らしたい
ふとした 仕草が
家族めいてしまわないように
丁寧に 丁寧に
気をつけながら
やっていこうね
植木の鉢
私たちには剪定の才能が無い
下記は、詠人は知らないのですけど、何処かから写してきたもの。それの元も誰かが写したもの。最初の2行が良いです。検索したら情報が出るのだと思うけれど、今はよくは知らないので、東大全共闘の場に持ってくるべき詩なのかも知らない(例えば東大じゃない学校の学生のものかとか、そういうことをですね)
私は全共闘が正しいとかそういうことは思わないけれど(高野悦子の本はバイブルにしているけれど)、青年青女のなかには孤独に苦しんだひともいるのだろうなと思います。青春の苦しさは別に尊くない。
生きてる 生きてる 生きている
バリケードという腹の中で
生きている
毎日自主講座という栄養をとり
“友と語る”という清涼飲料剤を飲み
毎日精力的に生きている
生きてる 生きてる 生きている
つい昨日まで 悪魔に支配され
栄養を奪われていたが
今日飲んだ“解放”というアンプルで
今はもう 完全に生き変わった
そして今 バリケードの腹の中で
生きている
生きてる 生きてる 生きている
今や青春の中に生きている
また何度も観るんだろうな。
ルルカの点描画
ニイチが少々変わっているのではないかということはルルカも当初から知っていたことだった。
それでもルルカは構わなかった。ルルカも自分自身が少なからず曲がってることを知っていたし、ニイチの性癖のようなものが捻れていようとも自分にとって良いことだろうと、ルルカは考え、そして納得していた。なんの恐れも無い。彼は優しい恋人だ。
大抵はニイチがルルカの部屋に泊まった。ルルカは自分のベッドの方が好きだからだ。ときどきニイチはルルカの首をなぞり、
「ルルカは美人だね」
と、子どもの頭を撫で回すように、云う。
「こんな痣、どうしたの?」
ルルカの左肩胛骨に指先でそっと触れて尋ねた。その指はまるで、その痣が出来立ての傷口で、ルルカが痛みを覚えるのを回避しようとするように慎重だった。
え、痣、ある?
あるよ。ちょっと青くてそれでちょっと緑でそれからちょっと黄色い。怪我?
なにそれ、何色なのかわかんないよ。
ルルカはくすくすシーツの上で笑う。
怪我じゃないよ。知らないけど、生まれつきじゃないかなあ。
触っても痛くない?
全然、全然痛くないよ。ていうか何色?
目立つ?
そうかあ、とニイチは云う。そうだねえ、宇宙みたいな色。宇宙とか見たことないでしょ。夜の空の黒くないところの色。なにそれ、何処。星が光っているから、空の黒が少し負けてる、あれ。よくわかんないよ。そう? 全く分かりませんよー。
ニイチはベッドから手を伸ばしてルルカのデスクのペンを取った。
※ note創作大賞に応募しました。この小説を含む本は下記です。
「さかな、掬って」
「え?」
「さかな、する」
「金魚掬いたいの? 出来るかな」
「できる」
娘は巧妙に、八匹金魚を掬った。
お庭の鉢に水を張って、浮き草をいれて、放ったら、
ひらひらひらひら
して
きれい。
「お父さん、さかな」
「え?」
「小摘が呼んでる。金魚動かないって」
「どうして」
「さあ……冬眠?」
「とうさん、おさかな」
「どうしたの」
「動かない」
「死んだの?」
「動けない」
「あ……」
家族が忘却していた金魚の鉢は、
冬の庭で塊になった。
「金魚、たすけて。おへやに、入れて」
「凍ってしまったんだよ。氷のなかに、閉じ込められてるの」
「息してる?」
「息……、出来ないよ」
「おさかな、すくう」
「もう、救えないよ」
1時間後開催です。
— Tw300字ss (@Tw300ss) November 6, 2021
第八十一回のお題は「救う」です。救命、救援、救済等、「救」の入った言葉でもOKです。「救う」にまつわる光景を作品にして下さい。
概要→ https://t.co/PJh41DqQvq
に沿って21時~23時に #Twitter300字ss と @Tw300ss
をつけて投稿して下さい。