Komma usw.

背後にクロチネさんがいる。

『よろづ春夏冬中』

 

 少年愛というより同性愛というより、BLというより、JUNEと呼びたい短篇集。
 そのジャンルはあまり読んでいないけれど、そんな所感。





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Lost girls calling. (白昼社)

Lost girls calling. (白昼社)

     

『右耳がずっと聞こえない』

 

右耳がずっと聞こえない

右耳がずっと聞こえない

 著者未衣子さん(お目にかかったことがある。容姿のみに留まらず面々うつくしい方でどきどきする。声も素敵。以上ラヴレター)の片耳難聴をカミングアウトし、その人生を考察するエッセイ集。表紙がとても可愛いのだが、先日の文学フリマで売り切れていたので、電子書籍にした。
 文学フリマの日は未衣子さんと夫の方がおふたりで私のブースに来てくださってとてもありがたかったのだが、私は祖父が突発性難聴で片耳が聞こえないという経験があり、未衣子さんの片側に立ったとき「こっち側で喋っていいですか?」と訊ね、未衣子さんは微笑んでくださった。聞こえない側の耳に顔を寄せて喋るわけではないのなら、片耳難聴はほぼ健常者に近い、と、思う(当事者でないので云い切れない、ごめんなさい)

 ところで私事なのだが私は脚が悪い。
 先ず、生まれたとき先天性内反足で「脚に障害があるかも知れない」と云われた。手術をしたり歩けないことは無いのだが、小学校に入ったとき、クラスメイトが私の歩き方を揶揄した真似をされて嗤われることとなる。いじめとかの話は好きではないのだが、私は一応いじめられていたかも知れず、曲がった脚で歩く歩調はその揶揄いのネタだった。
 この後、20代後半に離断性骨軟骨炎と診断され、ハイヒールやパンプス、サンダルが一生履けない脚になる。いや、履いても良いけれど転倒して今よりも歩けなくなる(だろう)
 しかし、「脚に障害があります」と表明したことは必要最低限以外無い。
 離断性骨軟骨炎は兎も角、小学校1年生で孤独だったとき「私は『脚の悪い子』なのだ」と意思表示して、お前たちは私に情を寄せるべきだ、と断罪する選択肢もありはしたのだ、しなかったが。元々、身体測定で概ねオーケーを貰う人間が、脚が曲がっていることを表に出すという発想が無かった。私の内反足は、障害者というほどの曲がり方ではない、と幼い頃定期的にレントゲンを撮って落ち着いている。

 未衣子さんのエッセイから伝わるべき本質ではないかも知れないが、私はそういうことを思い出していた。障害だけれど、表明しなくてもなんとかなっちゃう、件。表明したら逆にぎくしゃくしそうで云えない件。未衣子さんが何度か堪えるべき場面に遭ったとしてそれが私の過去とは繋がらないだろうが、
「いずみちゃんの歩き方こーんなのーほらほらこうこう」
 と揶揄されたあいだ、特に(特に脚に特化して)声を上げなかった小学生の自分が、何処かで救われた気がした本だった。


 装幀デザインがとても好きです。紙書籍もいいな。


 未衣子さんのtumblr
 http://mascon33.tumblr.com/




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ミルチリカル

ミルチリカル

ミルチリカル (白昼社)

ミルチリカル (白昼社)



 

『コルキータ』と『ORUGA』

 『ORUGA』を読んだ。まだ筆者が物語作家であった頃の作品(今は俳人)まだ入手出来るうちに手元に置いてあったよかったなと思った。俳人である氏も好きだが、とても面白いものを書く作家だった、と思うと惜しい。流転流転。


 

オルカ

オルカ

コルキータ

コルキータ

南武枝線

南武枝線



    


    

連作「私小説以上」

私小説以上」

   
   
個であると認識し孤独同士だと認知すならば同衾できる


歌へば空歌ふ程ひろく生を抱きセンチメントはクズにも出来る


水は透けメロンソーダをすきな子を嫌ひになつてとても淋しい


耳のあるいきものをきみは好きですか檸檬は音を聴くものですか


黒い鳥/うしなひ過ぎた下腹部の/痛み/逢ひたくて逢ひたくないです


〈うつくしく柩の蓋を開けるひと 〉《丁寧に頁を手繰るひと》


あと幾度かうして穏やかに眠れるだらう良人が右肩にゐる


きみがギターを弾くのは良いね恰好よい、ミライトピアもカコトピアもね


わたしの通夜の控へ室にてまだ幼い姪と甥とは退屈をする


自室から出ぬ侭に過ぎる日々の日々コラージュだよまた粉々になれ




201805 羽田にて


https://www.instagram.com/p/BiaBT5mBYas/




     

『夢十夜』

 

 色々良いのだけれど、私は子豚のバムセ(ぬいぐるみ)を偏愛しているので、洋杖(ステッキ)で幾万頭順々に押し寄せる豚の鼻を一寸触っては豚が、ぐう、と云って崖から落ちてゆく描写にすっかりはしゃいでしまった。読み終えて、バムセの鼻を触っては「ブウ」、触っては「ブウ」と云わせて遊んだ。うちのバムセはヘイドゥではない正真正銘バムセです(自慢)

    

note俳句部題詠に参加しました。

noteの俳句部題詠に初めて参加しました。夏の季語です。

「ヨット」

水面にヨット浮べし午后の風呂

少年が折つたヨットの色の良い

「香水」

香水と雨滴が交じりすれちがふ

窓辺にはさかなの透ける香水壜

香水壜振れば外では鳩が飛ぶ

寝室の香水壜で今日に封

熱帯魚

見つめてゐるのは私、熱帯魚

セロファン切つて逃した熱帯魚

かき氷

銀の匙しやくしやく掬ふかき氷

日々の泡けづられるものはかき氷

二人掛けひとりで座りかき氷

南風

空を上ぐ「恋人は南風」と歌ふ

南風足もとがゆるくたなびく



(20180531 水曜)

短詩会風翳主宰しています。

 未熟者ながら部員に支えられています。
 fy-yi.tumblr.com



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