Komma usw.

背後にクロチネさんがいる。

『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』

 

      

 長いあいだ憧れていたタイトルの本を読みました。料理がしたくなります。誰かと食事をするのも良いけれど、自宅の為に、自分の為にお皿に清楚なオムレツだけをのせて、ひとりで食べたりしてみたい。清廉に、綺麗なフォークだけを置いた、食卓。窓の外はきっと真夜中なんかじゃない。
 私はセルフネグレクト気味なので、独りでそういうことをするのがとても苦手で、綺麗に生活してみたい。

 この本を読んで直通する発想ではないけれど、私はスペイン風オムレツがとても作りたくなりました。そして食べたくなりました。色んなひとに作って、食べて欲しくなりました。じゃがいもと玉葱とベーコンを卵全体に焼いて少量の胡椒が利いた、あの、スペイン風オムレツ!

 スクランブルエッグだって良い。ふわふわに焼いてケチャップをくっきりとした赤に落としたり。或いはチーズを入れる。或いはベーコンを添える。

 祖母や母が作ってくれたような、日本食っぽいオムレツも良い。挽き肉と玉ねぎと人参を炒めて、卵で巻いたもの。懐かしい味だ。たぶん醤油が少し入っている。祖母の料理の卵のふわとろ加減は最高だったし、卵で巧く具材をくるむことが当時は苦心していた母のオムレツだってとても美味しかった。これは、スペイン風オムレツとは違って、作って欲しくなる。今、もしも母にオムレツを作って貰えるなら、それは三日月型に卵が具材をくるんでいるだろうか?
 中高生の頃のお弁当のおかずで、卵焼きのような形なのだが、具材は挽き肉や玉葱が混ざって焼かれている日があった。卵料理が好きな私は、お弁当のなかではいつも、卵焼きがいっとうだ。

 正統派フランス料理風のオムレツも良いですね。オムレツほど簡単に作れるが作るのが困難なものは無い、というあの omelette!!


         



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