ほろ苦い気持ちと
あの、ほろ永い心細さ
痛みが傷みでありそして悼みであることが。
この揺らいでしまう私の肢体が
あの頃合唱の列に並んでソプラノを歌っていたなんて
今では幻のようだ
肢体が、死体になるまでの束の間
あの、ほろ永い、ふあんてい
この島で、何人のひととすれ違ったの
そのうち何人には魂があったの
なんぴとたりとも心を量られることは無いの、
それは禁じられているの、だって、
彼自身が、持った重みだから
ほろ苦い気持ちと、
あの、ほろ永い心細さ
死体を見に行こうって少年が云いました、
なんていう童話がありました
私たちは理科室でその童話の映画を観ていたけれど
海外の映画は何を云っているか解らないから
大方は睡っていた
私たち大半は睡っていた
いつだって
映画に綴じられた少年は眩しかったけれど
私たち大半は睡っていた
今では海外の言葉を聞き取れても
喪った屹立とした背筋はどうやれば戻ってくるんだろう
痛みが傷みでありそして悼みであることが。