「韻律」
あなたの虹彩の中央に
私の目が溺れている
あなたは私の目を覗き込み
韻ばかりを探し続けている
私の目の遠くに暗い天井がある
電灯は消して貰ったから
私は瞬かないように努めているため
乾燥してゆく目に涙が溜まり又痛みもするが
あなたが探すそれが私の扉のなかにあるものならば
どうしたって私はこの瞼を閉めないでいようと思う
涙で潤んだ私を
右へ左へと探し続けるあなた
痛みをこらえ息もしない私と
掻き回し続けるあなた
あなたが欲しいものは韻律であるのに
私がこぼすのは悶えばかりで
律するものたちはどんどんと乱れてしまう
あなたが欲しいものは正しく測定するシリンダなのだから
私は絶対にそれになってみせる
あなたは探す
私は怺える
涙がつたい耳孔に入る
視線の交わりだけで
すべての愛欲が行き交うことが出来るこの形を
死んだあとまで忘れないでいようと思う
20130723