くみた柑著『おもちゃの指輪が絆ぐ時』をkindleで読みました。短篇集です。
認知症やPTSDを扱っている小説なのですが、読み易さで云えばきれいな文章で、立派な仕事だなあと思いました。認知症についての小説は、著者ご自身の介護経験も元にされているそうで、人間で生きていくのがつらい、こわい、つら過ぎる、と思って沈んでしまったほどのリアルで、心に錘を置かれました。愛も苦悩も、ただ家族という関係性だから。難しい話題を扱っているから──という表現では軽薄ですが、深く良い本だとしみじみ思いました。
- 記憶の森の魔女
- オムライス
- 偽りの幸せ
- おもちゃの指輪が絆ぐ時
- 十二月の街