時間が止まればいいのに。
誰にだって、そういう瞬間があるはずだ。
そしてそういう瞬間は、一生のうちに一度しか訪れないものだと思う。
忘れられないセックスだったり、受験の合格発表だったり、
子どもの出産だったり、皆既日食だったり、
友だちの死に目を看取る場面であったりする。
その全てにおいて、生と死が、正しく半分ずつに分かれ、
不安定な状態として存在している。
もちろんその僅か後にはどちらかに決定されている。
切り捨てられた半分を、時々思い返しては、祈りを捧げる。
その瞬間を乗り越えることで、大人になるとしたら。