人身事故についての、それは一月の
或る新幹線の駅で
人間と車両が接触した事故があったとして
博多 - 広島間のダイヤが乱れ
うーん、まあ、事故かなあ、飛び降りじゃないと思うんだよね
私が云うと良人も
あの駅前には三年寝太郎の像がある
と結び
だよね……
と会話を終えた
事故かなあ
事実は
きちんとそのひとは飛び降りきちんと肉片に裂かれ飛び砕け散りきちんと新幹線の時間は乱れたらしく
私は
夜に着いても朝、と遊び半分に口にすることはずっと覚えているけれど
人身事故のことはいつか覚えていなくなるかも知れない
自分の軽率な部分のことも
すぐに忘れてしまう
軽薄だから
その愚かな感じ に、ついて
耐えられない
のに
耐えられないほどの自分への絶望さえをも
私はきっと忘れる
本当に
あたまが悪いんだ
というより
足りないの。
足りない!
それに亡くなったようなひとたちがそのようなことの無いように満たされていたならば、そのひとたちも死ななかったし私も不義理ではなかった
何もかもが満ちるというほどにも何もどうにも充たされていないの、充填されていない、どうしてどうしてもこんなに不完全で居なければならないの、
きみだって、そうでしょう?
大学への受験生が交通機関で日本を縦断する1月(ばかでごめんなさい)
たいせつな日だったんだよね?
もうなんでもいいどうでもいいどうか誰も死なないでください、どうか誰も怪我しないでください、どうでもいいなんでもいい痛くならないでください
どうか誰も死なないでください
ちゃんと私がいっぱい、いっぱい、いっぱいいっぱい泣きますから本当に
お願いしたいと思っていて、
本当に、
本当に。
夜に到着しても朝と云われる駅のこと。

