懐かしみのはなし。
KOOLはメンソールだって知らなかったけれど、あの頃の私だったらすぅすぅするものは吸えなかったと思う。今は、リップクリームがメンソレータムでちょっとイヤなすぅすぅがちょっとイヤだから好き、みたいなそういう感じです。でもメンソール煙草は吸えないかも。
マイルドセブンがメビウスに名前を変えてしまったとき、私はたぶん国外にいたのだと思うけれど、とても寂しかった。マイセン何ミリ買ってきますか! と調達するのがむかしの私だった。美学の先生の口からマイセンを取り上げて、三口ほど吸ってまた口に返すこともときどきやっていて、でも先生は全然恋仲とかではなく既婚者でありしかし間接キスと騒ぐほどでもないほど、私の存在はただのちっぽけな娘っこだったので、よくそういうことをした。何度か何処かに書いているが、メビウスっていうのは禁煙出来なさそうになってしまう命名で、それはどうだろう。
セブンスターを吸っていた女の子はそれを「セッタ」と呼んでいた。それを恰好良いと思った。私の何処かで、それは「雪駄」と無意識のうちに掛け言葉になっていて、ゼロ年代二十歳前半夏の雪駄は、どう考えてもハードボイルドに繋がって、たまに少年みたいに髪を切ってしまう全然ダサいところのない女の子が吸っていると、だからセブンスター(というかセッタ)はハードボイルドだと思ってしまう。吸わせて貰ったときは、灰が多いんだな! と思って、そんな感想では申し訳ないので、それ以後ねだらなかった。
KOOL NIGHTSを好きな子はKOOL NIGHTSはなかなか手に入らないと云って、本当はPALL MALLを吸っていた。それはときどき貰った。思い出せないけれどときどき貰うくらいだから美味しかったのだろうと思う。おしゃれさんだと思った。アニメの好きな子に話すと、「次元大介の吸っている奴ペルメル!」と目を輝かせたけれど、私は『ルパン3世』は観ないので分からない。あの子はKOOL NIGHTSの、その入手しにくい箱を私にくれたので嬉しかった。
京都から尼崎に出奔したあと、私が京都に帰れなくなってしまった為、京都の家を大体は母が片付けてくれた。(ロングロングヘアをざんぎりに斬った髪も放置して出ていったので、恐ろしかっただろうし、とても申し訳ない)出奔したは良いが直後に酷いパニック障害になって、京都に帰れなくなっていたので。母はたぶん卓の抽斗の、KOOL NIGHTSの空箱を棄ててしまったと思う。掃除に参加しなかったから仕方がないのだけれど、惜しい。
さみしくて、むかしむかしの、その子のブログから拝借してきたKOOL NGHITSの画像を貼ってしまう。
Macを何世代替えても、残し続けている画像。私が煙草の魔法使いだったら、あの子に、手に入りにくいというKOOL NIGHTSをいっぱい渡してあげたかった。あの子は私のknightだったから。