- 作者: 未衣子
- 出版社/メーカー: BCCKS Distribution
- 発売日: 2018/03/22
- メディア: Kindle版
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著者未衣子さん(お目にかかったことがある。容姿のみに留まらず面々うつくしい方でどきどきする。声も素敵。以上ラヴレター)の片耳難聴をカミングアウトし、その人生を考察するエッセイ集。表紙がとても可愛いのだが、先日の文学フリマで売り切れていたので、電子書籍にした。
文学フリマの日は未衣子さんと夫の方がおふたりで私のブースに来てくださってとてもありがたかったのだが、私は祖父が突発性難聴で片耳が聞こえないという経験があり、未衣子さんの片側に立ったとき「こっち側で喋っていいですか?」と訊ね、未衣子さんは微笑んでくださった。聞こえない側の耳に顔を寄せて喋るわけではないのなら、片耳難聴はほぼ健常者に近い、と、思う(当事者でないので云い切れない、ごめんなさい)
ところで私事なのだが私は脚が悪い。
先ず、生まれたとき先天性内反足で「脚に障害があるかも知れない」と云われた。手術をしたり歩けないことは無いのだが、小学校に入ったとき、クラスメイトが私の歩き方を揶揄した真似をされて嗤われることとなる。いじめとかの話は好きではないのだが、私は一応いじめられていたかも知れず、曲がった脚で歩く歩調はその揶揄いのネタだった。
この後、20代後半に離断性骨軟骨炎と診断され、ハイヒールやパンプス、サンダルが一生履けない脚になる。いや、履いても良いけれど転倒して今よりも歩けなくなる(だろう)
しかし、「脚に障害があります」と表明したことは必要最低限以外無い。
離断性骨軟骨炎は兎も角、小学校1年生で孤独だったとき「私は『脚の悪い子』なのだ」と意思表示して、お前たちは私に情を寄せるべきだ、と断罪する選択肢もありはしたのだ、しなかったが。元々、身体測定で概ねオーケーを貰う人間が、脚が曲がっていることを表に出すという発想が無かった。私の内反足は、障害者というほどの曲がり方ではない、と幼い頃定期的にレントゲンを撮って落ち着いている。
未衣子さんのエッセイから伝わるべき本質ではないかも知れないが、私はそういうことを思い出していた。障害だけれど、表明しなくてもなんとかなっちゃう、件。表明したら逆にぎくしゃくしそうで云えない件。未衣子さんが何度か堪えるべき場面に遭ったとしてそれが私の過去とは繋がらないだろうが、
「いずみちゃんの歩き方こーんなのーほらほらこうこう」
と揶揄されたあいだ、特に(特に脚に特化して)声を上げなかった小学生の自分が、何処かで救われた気がした本だった。
装幀デザインがとても好きです。紙書籍もいいな。
未衣子さんのtumblr
http://mascon33.tumblr.com/
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- 作者: 泉由良,小林栄
- 出版社/メーカー: 白昼社
- 発売日: 2018/02/07
- メディア: 文庫
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- 作者: 泉由良
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