「私小説以上」
個であると認識し孤独同士だと認知すならば同衾できる
歌へば空歌ふ程ひろく生を抱きセンチメントはクズにも出来る
水は透けメロンソーダをすきな子を嫌ひになつてとても淋しい
耳のあるいきものをきみは好きですか檸檬は音を聴くものですか
黒い鳥/うしなひ過ぎた下腹部の/痛み/逢ひたくて逢ひたくないです
〈うつくしく柩の蓋を開けるひと 〉《丁寧に頁を手繰るひと》
あと幾度かうして穏やかに眠れるだらう良人が右肩にゐる
きみがギターを弾くのは良いね恰好よい、ミライトピアもカコトピアもね
わたしの通夜の控へ室にてまだ幼い姪と甥とは退屈をする
自室から出ぬ侭に過ぎる日々の日々コラージュだよまた粉々になれ
201805 羽田にて