夜はまださむい。
寝室は暖房機が入っているが、毛布のなかではつま先が凍えて縮こまる。
ストーヴのようなものの方が温まるのではないか、いや、アンカか。
子どもの頃、というより実家を出るまでよほど長じるまでベビィアンカというものを冬には蒲団に入れていて、それはぬくく、ねこの形をしたものと、ペンギンの形をしたものとふたつあった。その、ねこやペンギンの部分が「ベビィ」だったのだろう。
もう暁方がくる。まだ部屋は暗く、同居人の希望により豆球が点いている。私は真っ暗でも構わないのだが。
目を瞑ると光が放射状にちかちか何色にも光った。夜の観覧車のライトが乱舞しているようだと思った。
イヤフォンで孤立無援の唄を聴いている。机の上の高橋和巳は。いや、今は2018年だというのに。
生き存えていたら、私は来年も云うだろう、「今は2019年だというのに」
しかし去年も同じようなことを云っていた筈だ。
目を瞑ると放射状に舞う色とりどりの光に、天保山の観覧車を思い出した。年下の子とふたり、夜に乗った、あれは。