はてなブログ「短歌の目」6月分です。
題詠5首
1)クリーム
未だクリーム嘗めたることのないやふな澄んだ曹達に瞳隠れり
2)溝
哀しくもなき日溝口のぬめりを擦るまなこの平たさのまま
3)万緑
晴れし日の水面に映る万緑が光に毀れ吾が目を死なす
4)雨
雨ならよかつた心は泪 雨のなか泣いてゐたなら気づかれなかつた
5)きみ
寒き日もきみはきみの眼をしてくれ そんな願ひを持て余したり
テーマ詠「衣服」
コーデュロイをコール天と呼び慣らふ祖母の縫ひたるジャンパスカート
真夜中に寝間着の裾を弄ぶサテンのタグの滑らかな白
スカートの蔭に隠れて心おきなく溜息の音が聞ゆる
何枚の服をトランクに詰まば吾が安穏は満たされうるか
衣服ごと一度燃やしてみたならば空が吾が身を包むだらうよ
5月に参加した記事はこちら。