壊れた玩具を手にしてあの子が泣いている。あの子たちが泣いている。頬に一粒の水。今日は土砂降り。嘘つきの空。泣いてなんかいない。嘘つきの私たち。嘘つきの僕たち。そして僕たちの壊れた玩具。
おとなのような大きさのものが近づいてくるので金切り声を上げる。
「触らないで!」
おとなのようなそれらは怯むような素振りを見せる。
私たちに寄らないで。
僕たちに寄らないで。
私たちと僕たちの壊れた玩具を触らないで。取り上げないで。
「スパイスをきかせた恋はいかが?」
──そんなキャッチフレーズに踊らされて、ママたちとパパたちは僕たちと私たちを作り出した。幸せ設計だった玩具たち、の、壊れた玩具たち。
私たちに寄らないで。 僕たちに触らないで。
【第104回フリーワンライ】本日のお題
— フリーワンライ企画@次回7/29 (@freedom_1write) July 23, 2016
一粒の水
嘘つきの空
触らないで
壊れた玩具
スパイスをきかせた恋はいかが?
この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です! #深夜の真剣文字書き60分一本勝負