Komma usw.

背後にクロチネさんがいる。

なんて可愛らしいのでしょう

 今晩は、87年前の世界の皆さん。落ち込んだりもしていないけれど、私はそれなりに元気です。夏到来ですが空調はつけておりません。節電なる日々です。
  「エアコンを……」とよく耳にしますが、私は大概に於いては「冷暖房を切って」と申します。「空調」は少し格好良い別物のような気がするときがあるのです。私にとって「空調」に思い浮かぶものは、焦げ茶色の調度品で綺麗に揃えられたファミリレストランの天井で空気を掻き回している、やはり大概は焦げ茶色をしているあの羽根です。しかしあれは「空調」と思ってはみても形が似ているのは「扇風機」ですね。扇風機は私もよく使います。全体が水色をしているのは涼味を醸そうとしているのでしょうね、あれはやはり、そうなのでしょう。なんて可愛らしくもいじらしい顔色ではありませんか。

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 私の鴉に逢いたいと折々につけ想い願います。話を交わしたい。何処其処を共に歩き喫茶店を案内したい。昼日中から酒杯を酌み交したい。

 本当はどうしたいのか、上手く判らない。「わからない」は何を意味しているのだ。考えたくないのではないだろうか。実のところ答えが空集合なのだろうか。「認めたくない」という場合もあるでしょう。
 薬の副作用のために終始がたがた震えている私の左手を一寸触れた鴉の、あの瞬間の感触が蘇ったらそれが希みだったと気付くのかも知れません。どんな気分であったかなんて憶えていない。否応どちらも感じなかった気がするのですが、それでもあのときの接触が、瞬間が永遠に続いてゆけばきっと私はとても嬉しい。

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 「瞬間が永遠に続くのである」と、先日書き付けて居た語句です。当たり前のことしか述べていない文句です。しかし他人には怪訝に思われるかも知れません。他人のことは、わかりません。これはそのままの意味あいで、本当に、わかりません。書き付けたものは小冊子となってお舗に並べて頂ける処に行きました。お嫁入りと云うのかしら。そうなのかしら。

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 今日は眠れませんでした。ご存知かも知れませんが、私は不眠を患ってもう永いのです。夜の終わりに私はよく、罪悪感を覚えます。本日の夏の夜はするすると明けました。
 私は群青色の鉛筆で速写をして夜を過ごしていました。私の机には日々の速写の素材にしたいと感じられるものが少ないです、こんなに散らかっているのに、何故なの一体。嫌気が差すときは右手で左手の素描をします。速写とはクロッキー、素描とはデッサン。誰も教えてくれないのに知っている語句があるようです。いえ、誰かがわざわざ教えてくれる語句の方が少ないのですね。

 明け方、かさぶたが自然にひらと取れました。自分で無理に剥がさずに居た甲斐があるようです。
 脛に疵ある者同士だねというように、頬に十字の疵のある野郎を探せと脅すように、手首に疵痕のある……と考えて、しかしその後の自分を表す言葉が無いので、一旦ミルヒをのんで束の間考え、しかし見つかりませんでした。私の手首は静脈がとても青々と色濃くそして太く皮膚を透いていて、気に入っているものです。

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 今日も今晩は。明日はおはよう。いつか辿り着くだろうおやすみなさい。それではまた。またね。

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   What a cutie, it is!
 
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