Komma usw.

背後にクロチネさんがいる。

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if もしも

福島と福岡を間違える友が高校時代には二人いた (馬場めぐみ「if」より(短歌研究2017年3月号) if ......だったら、「福島と福岡を間違える」友人が今も二人もいたんだろう、という、 短歌研究 2017年 03 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 短歌研究社発売日: 2…

エッセー・うっすら光る遠い途

うっすら光る遠い途 -Mathmatic Mathmagic- 努力をしない生徒だった。この出だしを書いてから暫し努力という言葉が何を意味するのかも判らず、ゲシュタルト崩壊するしか無いほどに努力をしない生徒だった。私にとっての努力とは往々にして暗記だ。自然に記憶…

【第119回フリーワンライ】『夢のなかの庭』

『夢のなかの庭』 うっすらと、うっすらと、目を細めて心で見たら君の背中の向こうに見える、黒い翼の欲望と、白い輝きの神様。 あのこに近づかないで。 僕は声を上げようとして、それなのに金縛りの躯、ゼリィになった空気が連綿と続く。苦しい、苦しいんだ…

『壊れた玩具』

壊れた玩具を手にしてあの子が泣いている。あの子たちが泣いている。頬に一粒の水。今日は土砂降り。嘘つきの空。泣いてなんかいない。嘘つきの私たち。嘘つきの僕たち。そして僕たちの壊れた玩具。 おとなのような大きさのものが近づいてくるので金切り声を…

【第101回フリーワンライ】本日のお題

【第101回フリーワンライ】本日のお題冷たい方程式サヨナラと手作りご飯は残さず食べなさい 冷めた茶のように割れたガラスの上この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です! #深夜の真剣文字書き60分一本勝負— フリーワンライ企画@次回7/9…

「夏至の姉妹」

どうして、こんなにすぐに夏は過ぎるの。 妹が隣で呟く。妹が夏を愛しているのは、夏休みがある、というような理由ではない。私たちはれっきとしたおとなで、その証拠にふたりで階段の隅っこで、ハイボールをのんでいる。階段は板張りで、ここが蒸す季節は、…

「夏休み」

夏が来なかった。 夏が来ないまま雨が降り続き秋になるのではないか、ということだった。 だれもかれもストレスを抱え雨の降り続ける空を、もしくは地面を見た。 僕は一日中、図書館にいた。毎日、図書館で冷房に当たっていた。 夏は来なくても、どこもかし…

「爪を噛む」

爪を磨く。鑢で形を整え、色を塗りフレンチネイルにトップコートを重ね、私の爪は歪んだ宝石になる。 爪が嫌いだ。薄く入り込む汚れ。男を抱くとき何処かで私の爪が男の肌を傷めないか気に掛けねばならないその邪魔臭さ。すべては爪の所為だ。 男の恋人は綺…

「雨期の晴れ間」

一週間くらい雨の日が続いた、ような気がする。雨が降ると、どうしてか人と会う機会が減る。減るというか、ほとんど人と会わなくなる。それは僕のせいではないし、別に誰のせいでもなくて多分。多分、カラクリ。そんなカラクリの中で生きている、ちっぽけだ…

『ルリ色のルリ』

『ルリ色のルリ』 「意外だね」で文章を始める。 と、僕が書き始めたらオルゴールのルリは可笑しそうに体を揺らした。 「そうじゃないでしょう?」 「え、違う?」【「意外だね」彼は云った。】「こういう風に始めなさいっていう意図の課題じゃない?」 「そ…

【第100回フリーワンライ】本日のお題

【第100回フリーワンライ】本日のお題1氷雨やがて死にゆく星は掴まれた心は浮遊する川は海へと繋がる「意外だね」で文章を始める今回は記念回ですので、次のツイートでもお題を流させていただきます! #深夜の真剣文字書き60分一本勝負— フリーワンライ企画…

狐伏澤つたゐ『Last odyssey』

少年たちのなかには、世界が内包されている。 ──僕たちは(この書評については、私の一人称は「僕」になるのだ)この書籍を一読では理解出来ないだろう。理解、ではない。恐らくそれは「解析」だ。海は理解するものではない。解析するものだろうから。 僕は…

【第99回フリーワンライ】

【第99回フリーワンライ】本日のお題二人だけの竜宮城ドッペルゲンガー運命紅い空好きと嫌いは表裏一体この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です! #深夜の真剣文字書き60分一本勝負— フリーワンライ企画@次回6/12 (@freedom_1write) Ju…

【第98回フリーワンライ】

【第98回フリーワンライ】本日のお題恋しい背中言の葉を散らすクローン太陽はどこから昇る季節外れの蛍この中から一つ以上選んで執筆してください。本日は23時より開始いたします #深夜の真剣文字書き60分一本勝負— フリーワンライ企画@次回6/3 (@freedom_1w…

『オルゴールのルリ』

「オルゴールのルリ」 砂が動くことの無い星で、足元に何かが引っ掛かって屈み込むと、古い書物が落ちていた。 砂を払って目を凝らすと、 『月が綺麗ですね』 風化したパルプ紙にその一文が浮かんでいた。……月が、綺麗か。そうだね、月は綺麗だ。ここが月だ…

【第96回フリーワンライ】

【第96回フリーワンライ】本日のお題こんな日にはオルゴールを冷たい雨と相合傘『月が綺麗ですね』 恋の足音 最後の人類この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です! #深夜の真剣文字書き60分一本勝負— フリーワンライ企画@次回5/14 (@fr…

5月4日

寺山修司の命日。アリスの誕生日。大型連休の祝日。 アリスの誕生日と話題にするのは無粋でしょう。不思議の国のアリスは、なんでもない日のお茶会の世界なので、その話は要らないと決める。 寺山修司。 寺山修司という人となりが、人々が連休でうららかに晴…

【第94回フリーワンライ】

#あとで書く (あとで書くが溜まっていますね……!)【第94回フリーワンライ】本日のお題三分、待てどこの夜(よ)は私のためにあるニセモノヒロインウソツキヒーロー絶望この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です! #深夜の真剣文字書き60…

「火は綺麗」にゃんしー

「火は綺麗」にゃんしー 人は死ぬことを恐れ そして死を祭ることを始めたその道具として火が選ばれたのは 火が死と強く結びつく存在であるからだろう火が綺麗だと思うことは 死が綺麗だと思うことに似ている どちらも本能的な恐怖からの 逃避、というより 「…

「火は綺麗」こみちみつこ

「火は綺麗」こみちみつこ 夏の夜に湧いてでた虫を わたしは殺そうとしました振りかざした手を打ち下ろすことがどうしてもできず あなたの手に任せました 虫を叩き潰すこともできない 臆病で非力なわたしの手 わたしは隠れて泣きましたわたしの手が直接に そ…

「火は綺麗」小倉拓也

「火は綺麗」小倉拓也 生きることは加速すること 沢山の時間が私たちの背後に幽霊となり 地べたを這う背を脚を後押しをする その摩擦に焼かれて 私たちは火炎を上げながら 消し炭になる∗「そんなふうに生きなさい」と先生は言った その教訓さえ生まれた時か…

「火は綺麗」泉由良

「火は綺麗」泉由良 私は躰が昂ぶってゆくとき 透明になるような感じをおぼえます 躰の隅々まで興奮の潮が満ちるときに 自分の指先や蹠の皮が 無くなってゆくような心地がします 震える声音からも急速に色のうねりが引いてゆき 冷めない両手両足、腰、心肺、…

にゃんしーさんと#写文

#あとで書く。 #写文 pic.twitter.com/mhLWyDrBKO— にゃんしー5/1文フリ東京@ア-29 (@slymelogue) March 11, 2016 #写文 pic.twitter.com/2LKBodqPcC— にゃんしー5/1文フリ東京@ア-29 (@slymelogue) March 11, 2016 #写文 pic.twitter.com/y0szAd7x3t— に…

きりさんと#写文(5)

#あとで書く #写文2012. Wien /mumok pic.twitter.com/HAY6sLDY3X— きり chihiro kiri (@mist_chr) March 11, 2016

【第88回フリーワンライ】本日のお題

#あとで書く 【第88回フリーワンライ】本日のお題溶けてしまったものなくしたとき(なくした、は変換自由)孤独恐怖症会えたパステルカラーの涙この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です! #深夜の真剣文字書き60分一本勝負— フリーワン…

きりさんと#写文(4)

#写文In Deutschland Dachau KZ pic.twitter.com/wvvfFO9sNw— きり chihiro kiri (@mist_chr) February 23, 2016 #写文 In Kobe pic.twitter.com/TvIK5kUXj9— きり chihiro kiri (@mist_chr) February 23, 2016

「檻と湾曲」

おねえちゃんは、まあるい檻のなかに居るのよ。 あおとぴんくとみどりいろをした、とっても可愛いペンキが塗られた まるい檻のなかから外を見ているの。 きみの心がぐるぐる回るのは、おねえちゃんが檻をゆさゆさと揺するからなのよ。 でも大丈夫、きみは安…

冬の舞台

迷彩色冬の舞台はオルゴオル 泉

みなもとはなえさんと#写文

#写文 pic.twitter.com/BrDTYfI86l— みなもとはなえ (@losmrn) January 25, 2016おばあちゃん、ごめんね。葉書には毎日そう書いた。必ず投函しに行ったあの郵便受けに溜まってゆく、もう帰れないよ。#写文 https://t.co/pJA64qRo4v— ゆら (@yuraco) February…

きりさんと#写文(3)

#写文 pic.twitter.com/ucpxQKc6qW— きり chihiro kiri (@mist_chr) January 27, 2016唇は塩っぱかった。潮騒というより曹達水だったあの夏の波飛沫。くちづけのあじを……、果たせなかった。私は独り唇を舌で撫ぜただけだった。曹達水。 きみの唇も、塩っぱか…



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