コミュ力高めな短篇集。そういう意味で、〝絶滅危惧〟という不穏な単語は似合わない気がする。嘔吐の話がただただゲロに踏み切っていた。
Lost girls calling.に関するエッセイ、火野さんが更新してくれました。
火野さんが絵を描き、上京するまで。それから。どうぞご覧ください。
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試し読みはこちら。
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どうぞよしなによろしくお願い致します。
フェンスの向こう側。
滋養、というものが好きだった。滋味。食事というものは恐ろしい。彼女は体重の増加を恐れており、また栄養という概念も怖かった。栄養なのだから食べなさい、と云って引っ叩く手はもうここには無い。それでも。
愛情は出来ないと思った。愛情は恐ろしいし、自分にはきっと出来ない。
滋味。
それは、慈しみという語を示唆するような気がした。
きのこを幾つも鍋に入れ、とくとくと煮込む。塩と胡椒。オレガノ、そしてソーセージ。だしが出る。だしとは旨味だ。
もしも旨み成分というものが美味しさというものなら、何故ひとは旨み成分を、旨み成分のみをふんだんに使って料理をしないのだろう? 旨いというのは、美味しいということなのだろう? グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸。空腹で堪らないのに食卓から逃亡していた少女だった頃、彼女は夜更けのキッチンで、アミノ酸調味料を嘗めながら泣いた。
もう、いいの。
大丈夫になれる筈だから。彼女もあなたも私も、きっと。
鍋はくっくと湯気を上げ、彼女はもうすぐ食卓につく。
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#444書 は投稿をお待ちしています。