風邪薬ふるぼけてラムネに似たり
風邪ひきて家に牛乳が無き夜
季語:風邪(三冬)
風邪薬ふるぼけてラムネに似たり
風邪ひきて家に牛乳が無き夜
季語:風邪(三冬)
KindleUnlimitedサーヴィスが、2ヶ月間だけ99円なので、2ヶ月間利用して値段が上がる前に抜けようと思っている、せこいひとの読書記録です。
良い意味で息継ぎ無しに長文を書けるようになればいいのだろうなあ、と思いました。ずっと海を潜れるような。潜水しては息継ぎしないような。Unlimitedに入ってた切っ掛けで読めて良かったです。
表紙絵が良いのだろうけれど、スマートフォンアプリやAmazonの表示では良いのか悪いのかちょっとわかんない、っていうのが正直なところ。難しいですね。kindleを返却してしまうとデータが見えなくなってしまうので付記すると、発行日は2020年7月。表紙絵は網代幸介「まっくら」とのこと。
これはUnlimitedで借りたのではなく買ったまま積読していました。前掲書についての長文で云うと、これは長い長い潜水。なのに息が死なない。王木亡一朗通常運転で良いです。某痴漢ワードにびっくりしたりした(王木さんそんな単語を書くの……王木さん……)右翼という前提で主人公に出合ったレイジくんが良いヤツで、王木亡一朗作品はやっぱりハートフル。森博嗣&村上春樹ラヴァと云えば私の従兄弟かと思いますね(いやそこまでは思いませんね)
これは私が電子書籍を組んだのですし、何度も読んでいるので自分のkindleの収入にするわけでもなく、なんとなくUnlimitedで借りて再読。『神聖なる』の表紙に先ほどひとこと付けたけれど、『××××には〜』の表紙は攻め過ぎというか、タイトルくらい書いてくれというか、本当にこの表紙で良いのか?
日本人である著者が、韓国人が日本に恋をしたり、日本人が韓国人を酷い目に遭わせたりを描く、そのいちいちに私の何処かに拒否反応が確かにあって、いやそれをわざわざタブーだと思うその心こそ違うのでは。と思ったりして、難しい。
にゃんしー著作は、被差別部落や、原発や、慰安婦や、貧困な家庭の万引き・売春女子高生や、批判される種の性的倒錯者がいつも出てきて、そしていつも、(コンナノ書イチャ駄目ヂャナイノ????)と温室でぬるく鈍い感受器の私に突き出される。本人は何処まで自覚しているのか知りませんが。
あと、野球が出てくる本はいつも面白いので、『××××には〜』は面白い、という著者の変な性癖があります。
権威だとは思わないけれど、群像4次通過はそれだけのことはある。
このセルパブ〜が無料だったのでDLしました。界隈には縁がないと思っているのですが、ざっくり読んでいたら波野發作さんが私の著書、泉由良『詳しい予感』に票を投じていてくださいました。波野さんのような、装幀に関しては右に出る物無し感な方に、『詳しい予感』の表紙を褒めていただけたので、ありがたいありがたいです。
何故か自著の広告という挙動をして、この記事は終わります。挙動と書いてムーヴと読む。短篇集なので、ついでに収録作も書こう。
埼玉の女王様(こちらは素敵なblog記事へのリンク)くわよかの表紙の〝抜け感〟が良い、とtwitterで言及していただいたことがあるのですが、「抜け感」というものが今一つ分からず途方に暮れています。頑張ろうね。
ていうか埼玉の女王で検索していちばんにヒットする埼玉の女王である友人がいるって、めちゃくちゃ素敵なことではないですか? そして面白い。
ああ……良い表紙とは。そして面白き小説とは!! 如何。
『花の里』
「この花は……」
植物学者は目を疑った。丁寧に草と花を屈んだ膝にのせ、携帯端末を出す。エーテルワイズ。エーテルワイズ! この花は二〇〇年前から見られていないんだ。恐らく前の大戦のときに化学兵器で根絶やしになった植物だ。こんなところで俺が見るなんて……。
「もっと森の奥に行こうよ」
見上げると彼女の髪からふわふわと溢れる四葉のクローヴァ。
「おじさん、植物、好きでしょう?」
「うん、また来るよ、本当にありがとう」
「おじさん、本当に町に戻れると思ってんの?」
花むすめの瞳がきゅっと縮んだ。
「ここは花の隠れ里。戦争で死んだ花も居る。三百年後に放射能で死ぬ樹々もここにいる。ねえ、普通に帰れると思ってんの?」
(twitter300ssお題「隠」20210306)