はてなブログ題詠「短歌の目」2月、参加します。
題詠5首
1) 洗
濡れ濡れと洗い髪にまた雨しきる夜部屋の外で大変泣いた
2)鬼
人として生きるも死ぬも出来なくて私を剥がせば綿状の鬼
3)入
入水した人魚の後を人が追い人魚は人間と海で死んだ
4)チョコ
ゴダィヴァもマルコリーニも要らないな あたし明治の板チョコがすき
5)きさらぎ
如月の三十日に生まれたの だから明後日星に帰るの
はてなブログ題詠「短歌の目」2月、参加します。
1) 洗
濡れ濡れと洗い髪にまた雨しきる夜部屋の外で大変泣いた
2)鬼
人として生きるも死ぬも出来なくて私を剥がせば綿状の鬼
3)入
入水した人魚の後を人が追い人魚は人間と海で死んだ
4)チョコ
ゴダィヴァもマルコリーニも要らないな あたし明治の板チョコがすき
5)きさらぎ
如月の三十日に生まれたの だから明後日星に帰るの
この写真が、どうにもCDジャケットを想起させる。
自分が被写体である写真を重ねるのは、厚かましいかも知れないけれど……
ただ、ずっと前にはてな乙女の他の方もイメージフォトを撮っていらっしゃったのを思い出しました。
(ちなみに、この場所に入り込んで写真を撮ったのは、危ないって云われるから秘密、とか云って逃げたなあ……)
はてなブログ題詠「短歌の目」1月参加です。
11月はこちら(12月は締切に寝過ごしました……)
短歌の目 題13回 11月 - Komma usw.
では1月です。
1)編
編み込みの練習のため毎時間うちのクラスに来る同級生
2)かがみ
いつだって鏡の奥には夜がある闇の手前で誰かを写す
3)もち
もちもちのほっぺなのねとつっつくと、「たべたらだめよ!」声上げる姪
4)立
立春は光がすうと持ち上がりレースの風が頬を撫でる日
5)草
風にこの手をかざして感じる息のよう草の想いのように生きよう
(「草の想い」より)
試読記事続きです。
「ナナンタさんの鈴の音」
ナナンタさんは、何歳なのだろうか。
わたしがお母さんの突っ掛けを履いた為に道で転んで、アスファルトの道路だったので擦り傷ができて酷く血が出たとき、ナナンタさんは小走りに駆け寄ってわたしを支え、自分の家の玄関先に招き入れてくれた。そこは祠の後ろに隠れた寂れた家なのだが、ナナンタさんはべそをかいているわたしのほっぺたを両手で挟んで、
「ひなかちゃん、痛い?痛かった?だいじょうぶ、だいじょうぶよ」
と、云いながら、傷口を消毒してくれた。
「痛い?」
「痛い……けど、へいき……」
ナナンタさんはランドセルを下ろすのに手を貸してくれ、桃色の紐の付いた銀色の鈴を家の奥から出してきて、わたしの手にのせた。
「あげるわ」
わたしが手を揺らすと、鈴は、ちりり、と鳴った。
「いいの?」
「もう痛くならないように、怪我をしないように、ひなかちゃんにあげるわ」
「……ありがとう」ナナンタさんのことは、そのあたりの子どもはみんな知っていた。ナナンタババア、と呼ぶ子もいたし、ナナババさん、と云い慣らす子もいたけれど、わたしは、ナナンタさん、だと思っていた。
「春眠」
「『──花の咲かない頃はよろしいのですが、花の季節になると、旅人はみんな森の花の下で気が変になりました』」
小さな声を出して読んでみる。もう一度、繰り返してみる。
「気が、変に、なりました」
私はいつからか気が変なのかも知れない。
外は春特有の白っぽい夕暮れだった。私は飾り窓の傍の椅子で坂口安吾を暗くなるまで読んだ。
「気が、変に、なりました」
夜だからワインでも飲むといいかも知れない。ロゼのスパークリングワインがいい。
冷蔵庫からそれを出してきてグラスに注ぎ、長いストロォで飲んだ。随分旧いストロォで、ぴんく色をしていて、途中でト音記号の形に曲がっているのだった。ワインはあかく、ぴんく色のストロォのなかを回転しながら私の口許まで昇ってくる。ト音記号に回転しながら昇ってくるワインなんて、気が変だ。
「気が、変に、なりました」
私はもう一回くちに出して、そう云った。
『ウソツキムスメ』私家版は22日、文学フリマ京都に(於:京都市勧業館みやこめっせ)にて600円で発売開始、2月あたまにはAmazonにて、紙書籍版と電子書籍版とを販売開始予定です。14歳〜22歳のあいだに書いた8篇を収録し、文庫化にあたって加筆しました。どうぞ、ご注目くださいませ。
嘘をつく罪悪感と、成長することへの怯えと、無償の愛と、孤独と生きる為に携えるものについて、8篇書きました。
— 白昼社 (@hakuchusha) January 19, 2017